お風呂リフォームを検討されている方が気にするポイントのひとつが「お風呂リフォームに掛かる費用」です。お風呂はリフォームの中でも高額になりがち。当然気になりますよね。ですが費用について調べてみても、50万円でリフォーム出来たらしい人もいれば、150万円以上掛かった人もいる。
ネット検索を繰り返しても一体いくらになるのか、ハッキリ掴めていない方が大半でしょう。それもそのはず。正直なところお風呂リフォームは「今のお風呂の状況」に特に左右されて、その浴室によって費用が数十万円も変わってしまうことは珍しくないのです。
そこで本記事では、なぜそんなにお風呂リフォームの費用が変わってしまうのかを解説。そして主なお風呂リフォーム費用の相場一覧と、費用をできるだけ絞るための対策をご紹介します。なかなか説明されていない「お風呂リフォームの費用」についてを把握し、ぜひ参考にしてみてください。
1.お風呂リフォームの費用相場一覧
まずはお風呂リフォームの費用相場のお話から始めます。
1-1.お風呂リフォームの費用相場一覧
リフォームの種類 | 費用相場 |
ユニットバス入替 | 50~150万円 |
在来工法 | 50~数百万円 |
浴槽交換 | 10~50万円 |
浴室塗装 | 10~20万円 |
パネル工法 | 10~20万円 |
床シート貼り | 4~10万円 |
浴室ドア交換 | 3~10万円 |
※ユニットバス入替、在来工法、浴室塗装、パネル工法はお風呂全体をリフォームした時の費用相場。浴室の状態や大きさなどによって費用は変化します。
主なお風呂リフォームの項目と費用相場を並べてみました。この中で最も一般的な浴室リフォームの方法は「ユニットバス入替」です。
1-2.主流のお風呂リフォームは「ユニットバスのリフォーム」
現在お風呂リフォームで最も主流な方法である「ユニットバスのリフォーム」。しかし大抵お風呂リフォームの費用で困るのも、このユニットバスでのリフォームなのです。
1-2-1.そもそもユニットバスとは
念のため、ユニットバスのカンタンな説明をしておきます。ユニットバスとは、メーカーが工場で大量に作った「浴槽・床・壁・天井その他」などがワンセットになったお風呂のことです。職人さんは現場の状況や、お客さんの要望に合ったユニットバスを選び、それを現場でプラモデルのように組み立てます。そうすることで全てを1から作るよりも効率的に、かつ費用を抑えたリフォームが可能なのです。
それに加えてユニットバスは防水性も高いため、今ではお風呂リフォームの主流となっています。
1-2-2.しかしユニットバスのリフォームでは掛かる費用の幅が大きい
最初にご紹介した通り、ユニットバスでのリフォーム費用相場は「50~150万円」です。これは一見するとあまりに幅が大きいので費用を自由に選択できるように見えます。ですがそうではありません。
もし「ウチは予算が少ないし50~60万円くらいでリフォームしてもらおう」と考えていたとしても、いざ業者に見てもらうと100万円以上掛かると言われるケースは少なくないのです。なぜならお風呂リフォームでは特にお風呂の状況が命運を分けるからです。これについて詳しくは後述します。
1-2-3.ユニットバスの価格を見る時は「工事費は込みなのか」を気をつける
そしてカタログやホームページ等の商品ページで、ユニットバスの価格を見る時も注意が必要です。それはそのユニットバスの価格は「工事費込みの価格なのか」ということ。ユニットバスのリフォームをするためには、ユニットバスの本体代以外に工事費やその他諸々が掛かります。この基本的な工事費がすでに価格に入っているのかどうかはその業者や商品によって違います。
つまり、一見同じ金額だったとしても「商品代のみ」の物と「商品代+基本工事費その他」の物が混ざっている可能性があるのです。価格を見る時はこの点に気をつけなければいけません。
さらにこの「基本工事費込み」の価格だったとしても、お風呂の状態によっては別に工事が必要で、結果的に費用がはね上がることもあり得ます。これについても後でお話しします。
1-2-4.ユニットバス以外のお風呂は「在来工法」
少し話は飛んで、ユニットバス以外のお風呂についてです。ユニットバス以外のお風呂とは、今ある部屋を利用したり1から浴室として作ったりと、その家に合わせてオーダーメイドで浴室を仕上げた物です。これを「在来工法」または「在来浴室」と呼びます。
在来浴室ではオーダーメイドであるため、あらかじめ決められているユニットバスとは違って希望に沿ったお風呂にしやすくなっています。
- ガラス貼りのオシャレな浴室
- 自然素材を取り入れたヒノキ風呂
上のような素敵なお風呂を手に入れたい方には持ってこいです。ですがそうした高級志向の浴室では手間が掛かる分、費用は希望に応じて際限なく高くなります。
1-3.リフォームの費用相場はあくまで「相場」でしかない
先にリフォーム費用の相場をお見せしましたが、それはあくまで「相場」にすぎないという事を注意しなければいけません。その理由をご説明します。
1-3-1.お風呂の状況によって必要な工事その他が違う=費用が変わる
費用相場とは大体このくらいの費用が多いという「目安」です。しかしそんな目安があったとしても、それより安く済むこともあれば高くなってしまう事も当然あるのです。先に少し触れましたが、お風呂リフォームの費用は現在のお風呂の状況に特に左右されます。浴室の状況によっては以下の事が変わってくるからです。
- 必要な工事の工程
- 必要な工事の日数
- 必要な職人の数
- 撤去、処分費用
- 適応できる商品の種類
特にユニットバス入替のリフォームでは「壁を取り壊す工事が必要かどうか」で費用が大きく変わります。壁を壊すということは、再度その壁を作り直す工事が発生するということです。
1-3-2.お風呂リフォームの費用がいくら掛かるかは見積もりが出てくるまで分からない
上で挙げたようにお風呂ごとに必要な工事が変わってしまうために「基本工事費込み」と謳われていても、その料金だけで収まらない事があるのです。浴室の状況によっては工事が増えるわけです。
そうなると、いくらインターネットで事前に費用を調べていても、業者さんに直接お風呂を見てもらって見積もりを出してもらわない限り、ハッキリとどのくらい費用が掛かるかは分からないのです。
リフォーム業者さんに「とりあえずいくら掛かりますか」と質問しても、「現地を調査しないと分かりません」と言われるのはコレが原因です。お風呂リフォームは、リフォームの中でも費用が掛かる上に、今の浴室の状況に左右される分、カンタンに費用を割り出しにくい分野なのです。
次の項ではそんなお風呂リフォームの費用を安く済ましたい方のための対策をご紹介します。
2.お風呂リフォームの費用を絞りに絞る7つの対策
さて、お風呂リフォームの費用について少し分かったところで、ここから費用を下げる対策のお話しに移ります。リフォームをする目的や様々な状況によっては、今から紹介する7つの対策で劇的に費用を絞れる可能性もあります。知っておいて損はありませんので是非チェックしましょう。
対策1.メーカーに頼まず、リフォーム屋さんに直接頼む
まず1つ目は「メーカーに直接リフォームを頼まない」という方法です。
- 悪徳な業者に引っかかりたくない
- どこに頼んでいいか分からない
といった方はメーカーに頼むことを選ぶでしょう。確かに信頼できるメーカーであれば、安全性は上がるかもしれません。しかしその分、確実に費用もアップしてしまうでしょう。というのもメーカーに頼んだとしても、その大半は下請けの業者へとリフォームを回します。そしてメーカーはリフォーム費用の中に仲介手数料(利益)を組み込む可能性が高いのです。
直接リフォーム業者に頼んだ方がそのメーカーに払うはずだった利益分が減るので、安くなるかもしれません。実際に浴室ドアの交換だけでも、メーカーに頼んだら15万円だったのに対して、当会でリフォームしたら8万円台で済んだというケースが最近もありました。
メーカーにリフォームを頼んで高いとお困りの方は、リフォーム屋さんに直接頼んでみましょう。
対策2.商品のグレードを下げる
2つ目は「商品のグレードを下げる」です。これは単純明快、つまり今の見積りに挙がっている物よりも安い商品にしてみる方法です。例えばユニットバスだけでも、商品代のみで100万円を超えるものは珍しくありません。そして大きさにもよりますが、グレードの低いユニットバスなら十数万円で売られている物もあります。
そうするとユニットバスなら商品のグレードを下げるだけでも数十万円も費用が変わるのです。ご自身の目的によっては、可能ならばグレードを下げることも検討してみましょう。
ただしユニットバス入替の場合、サイズの関係で商品を自由に選択しにくいこともあります。そして最悪、予算や建物の構造上、ユニットバスの入替自体が困難だというケースもあります。これらについて詳しくはユニットバスの測り方とサイズが原因で入替出来ない時の対処法をご覧ください。
対策3.リフォーム費用を抑えられる工法を利用する
対策その3は「費用を抑えられる工法を利用する」。お風呂リフォームは「ユニットバスでのリフォーム」が一般的であるとお話ししました。今設置されているユニットバスを新しいユニットバスと入れ替えたり、在来浴室にユニットバスを入れるといった具合です。しかし場合によってはかなり高額になってしまい、予算オーバーとなることもあります。
そんな時は、あまり一般には知られていない「費用を抑えられる工法」を利用すれば費用を抑えられます。
- 浴室塗装 … 費用相場 10~20万円
- パネル工法 … 費用相場 10~20万円
- 床シート貼り … 費用相場 4~10万円
このような工法でのリフォームを選択すれば、ユニットバス入替の2分の1〜5分の1に費用を抑えることも可能です。お風呂リフォームの費用に困っているなら検討してみましょう。詳しくは入替せずにマンション寿命を延ばす風呂リフォーム奥の手6つを参考にしてみてください。
対策4.部分的なお風呂のリフォームに留めておく
4つ目は「部分的なリフォームに留めておく」です。浴室全体をリフォームするにはそれなりの費用が必要になります。お風呂の状態やリフォームする目的によっては、全体でなく部分的なリフォームだけでも充分なこともあるでしょう。例えば浴槽だけ、壁の一面だけ、床だけ、など。
そうすれば数万円〜十数万円の費用で抑えられる可能性が高くなります。しかし部分的にリフォームしてからそれほど月日が経たないうちにお風呂全体のリフォームを検討している場合は、結果的に割高となってしまう可能性もあります。注意しましょう。
対策5.値下げ交渉をしてみる
対策の5つ目は「値下げ交渉をしてみる」です。どうしてもリフォームの予算が足らない、見積金額が予算を少しオーバーしてしまっている…。そんな時はリフォーム屋さんに直接費用を下げてもらえないか相談をしてしまうのも手です。
ただし「値引きできて当たり前」という意識はやめましょう。サービスとは言え、当然ながらお相手も心を持った人間です。本来そこまで必要でないリフォームにも関わらず、ご自分の希望で高級な路線を求めた挙句の値引きでは、ただのワガママなお客と判断されてしまいます。
値引きしてもらえるかどうかは、あくまでも業者さんの気持ち次第。物件を維持するために止むを得ず必要なリフォームをした際、せいぜいキリの良い数字にするための端数であったり、出来て全体の数%くらいでしょう。そういう最低限必要なリフォーム時にどうしても費用が出しにくい時には、相談してみても良いでしょう。
対策6.お風呂リフォーム期間中は実家に帰るなど、家を空ける
対策の6つ目は、「リフォーム期間中は家を無人の状態にする」です。リフォーム全般に言えることですが、リフォームをする浴室だけで作業スペースが収まるとは限りません。
家に人が住んでいることで、職人さんの動きが制限されてしまったり、もうひと手間が掛かることも少なくありません。その影響でリフォームの期間が延びたり、作業が増えたりすることでリフォーム費用が上がることもあり得ます。
ただしどういったリフォームをするかにもよるので、実際にリフォーム屋さんに「家を空けている方が費用は下がりそうか」と相談してみましょう。それで費用が下がるようであれば、リフォーム期間中は実家に帰るなど家を空けることを検討すると良いでしょう。
対策7.相見積もりをする
さて、最後の7つ目は「相見積もりをする」です。リフォーム費用を下げたいならば、相見積もりは至極真っ当な方法。ですが意外と1社からしか見積もりを取っていない方が多いと感じます。
相見積もりをする時はあなたが気になった3社ほどに見積もりを依頼し、費用を見比べてみると良いでしょう。3社以上になると手間が掛かるのと、数が多いことで混乱してしまい冷静な判断ができなくなってしまうかもしれません。
また同じ工法で純粋に費用のみを相見積もりする場合は、すべて同じグレードの商品で見積もりを出してもらうようにしましょう。対策2の「商品グレードを下げる」でお話しした通り、商品が違うだけで費用は上下します。その点のみ注意しましょう。
3.それでも費用が合わない時は
ここまでで費用を抑える対策を7つ見てきました。しかしそれらを駆使しても費用が合わない時もあるでしょう。リフォームはそもそもお金が掛かるものなので、予算と見積もりの間に埋められない差がある時は諦めざるを得ないこともあります。ですがもしかすると他の方法で何とかなるかもしれません。最後にオマケとして、そのヒントをご紹介します。
3-1.汚れがひどいだけならクリーニングを利用してみる
お風呂リフォームをしたいという理由の中には「汚れ」がキッカケの方もいらっしゃいます。お風呂があまりにも汚いので、もはや洗っただけではどうにもならないとお考えになったパターンですね。
確かにただ掃除しただけでは解決できない汚れもありますが、クリーニングも意外と侮れません。ドロドロになっている浴室でもクリーニングをすれば案外何とかなる可能性もあります。そうすれば数万円で汚れを何とかするという目的を果たせるでしょう。検討する価値はあります。
3-2.DIYに挑戦してみる
- コーキングの打ち直し
- 床シート貼り
- タイルの貼り直し
これらを業者さんに依頼しようとして費用が合わなかった、断られてしまった場合。ご自身でDIYに挑戦してみるのも手です。DIYでなら手間を掛ければその分の費用が浮くため削減に繋がります。
ただしDIYであっても商品や材料を調達すると、結果としてそこまでプロに頼む費用と変わらないこともあり得ます。ほんの少しでも費用を抑えたいという方以外はプロに頼む方が無難かもしれません。また浴室塗装をDIYで行うのはリスクが高過ぎるのでやめた方が賢明です。床シート貼りの手順についてはコチラの記事でご紹介しています。
3-3.介護保険でリフォーム補助金を貰う
介護保険制度では、「要支援」または「要介護1~5」と認定された在宅の方で、住宅改修が必要な人に対し、一生涯で20万円まで、住宅改修の9割を補助してくれます。
引用: 介護リフォームに補助金が出るって本当!? (c) All About http://allabout.co.jp/gm/gc/30307/
上のように、介護保険を利用して要件に当てはまるリフォームをした場合には補助金が出る制度があります。対象となりそうな方であれば上手く利用すれば結果的に費用を削減することができるでしょう。
またこれ以外にも各自治体が独自の制度を設けていることがあります。詳しくはケアマネージャーや各自治体へ尋ねてみてください。ただし、こうした助成制度は大抵がリフォーム費用を支払った後に補助金を貰う流れになっているようです。最終的には軽い負担で済むようですが、最初に費用が発生してしまうことに注意しなければならないでしょう。
4.まとめ
実のところ、費用をどんどん掛けられるのであればリフォームも自由に出来ることでしょう。ですが実際には予算の問題が付いてまわります。特に費用が掛かりやすいお風呂リフォームではお悩みの方も多く、何とか出来ないかと考えておりました。
本記事ではユニットバスの入替だけでなく、その他の方法もご紹介しました。それによって目的や予算によってはリフォーム費用を削減する「抜け道」を見つけられた方もいらっしゃるのではないでしょうか。少しでもお役に立てたなら幸いです。もしそれでもお困りであれば、どうぞお気軽にご相談ください。