お風呂のリフォームに携わっている方であれば、ユニットバスのサイズの測り方は常識と言っても良いほどカンタンな事です。
ですが今の今まで全く興味もなかった、携わったことのなかった一般の方からすれば当然未知の領域でしょう。そしてサイズの測り方はカンタンであっても、そのサイズがリフォームに及ぼす影響については実際にトラブルに直面したことがない限り知らない方がほとんどでしょう。
そこで本記事ではユニットバスのサイズについてを取り上げてみます。
- ユニットバスの測り方やサイズ一覧
- ユニットバスのサイズがリフォームにどう影響するのか
- サイズが原因で入替できない時の対処法
これらを出来るだけ分かりやすく、順にお伝えしていきます。
1.ユニットバスのサイズはこうやって決まる
1-1.ユニットバスサイズの測り方
まずはユニットバスのサイズとその測り方についてです。
1-1-1.まず簡単にユニットバスについての説明を
前置きになりますが、そもそもユニットバスとは何かをカンタンにご説明しておきます。ユニットバスとはメーカーが工場で大量に作った浴室まるごとセットの商品の事です。浴槽や壁、天井、床などお風呂に必要な物がすべてセットになっており、リフォーム業者さんはそれを現場で組み立てて整えるだけで効率よく完成させる事ができます。
時々ある勘違いは、ワンルームのお風呂によくあるトイレもセットの物を指して「ユニットバスだ」というもの。もちろん間違ってはいませんが、トイレが無くてもユニットバスという種類なのです。またシステムバスはユニットバスの別称なので、呼び方が違うだけで差はありません。
1-1-2.「1216」等の4ケタの数字の意味
ここからサイズについてのお話になります。ユニットバスのサイズを表す時によく使われる定番の数字があります。それが「1216」等の4ケタの数字です。
この数字、何を意味するのかといいますと、ユニットバスの「横幅」と「奥行」なのです。ちなみに「1216」は以下のように呼ばれます。
- 「いちにー、いちろく」
- 「せんにひゃく、せんろっぴゃく」
1-1-3.ユニットバスのサイズで測るべきは「横幅」と「奥行」
前の項で出た1216などは横幅と奥行だと言いました。ユニットバスのサイズ(4ケタの数字)を出すには、上のイラストのように「横幅」と「奥行」を測るのです。メジャーを使って横いっぱいを測ります。
1-1-4.長さはミリ単位がセオリー
そしてその測ったサイズが「何ミリか」を確認します。例えば短い辺が130センチだった場合は1300ミリ、長い辺が170センチだった時は1700ミリです。上の1300ミリ×1700ミリの浴室は、「1317」のユニットバスという事になります。
先ほどの「1216」の呼び方で「せんにひゃく、せんろっぴゃく」とあったのは、リフォーム業界ではミリ単位で表すのがセオリーだからです。
1-1-5.奥行と幅以外を測る場面では業者に見てもらうべき時
ここまででユニットバスのサイズの測り方が分かりました。「横幅と奥行」です。
気になるのは「それ以外の長さは測らなくていいのか」ですが、まず一般の方が簡単にユニットバスのサイズを確認するだけの時は必要ないでしょう。もしもそれ以上の確認が必要であるならば、それはリフォームを前提とする場面です。その時には直接業者に現場調査をしてもらいましょう。
1-2.ユニットバスのサイズ例一覧
測り方が分かりましたので、次にサイズ一覧を見てみましょう。
ユニットバスのサイズ一覧
サイズ 坪 浴室内寸(短辺×長辺) 1216サイズ 0.75坪 1200mm×1600mm 1217サイズ 0.75坪 1200mm×1700mm 1317サイズ 0.75坪 1300mm×1700mm 1616サイズ 1.0坪 1600mm×1600mm 1717サイズ 1.0坪 1700mm×1700mm 1618サイズ 1.25坪 1600mm×1800mm 1620サイズ 1.25坪 1600mm×2000mm 1621サイズ 1.25坪 1600mm×2100mm 1624サイズ 1.5坪 1600mm×2400mm 1818サイズ 1.5坪 1800mm×1800mm 出典 : ホームプロ (c) HOMEPRO CO.,LTD http://www.homepro.jp/bath/unit_bath/index02.html
このように結構細かく並んでいます。「1616」など長さが同じ物もあります。種類は多いですが、サイズが全て揃っているという訳ではありません。ユニットバスもあくまでメーカーの商品なので、例えばこれよりも大きいサイズ、または小さいサイズや、間の細かいサイズがあるとも限りません。
- 自身の気に入ったユニットバスにはどのようなサイズがあるのか
- 今のユニットバス、あるいは浴室のサイズと比べて大きさはどうか
このような事を気にしなくてはいけません。
1-2-1.ユニットバスにメーカーの品番シールが貼ってあると判断がつく
例えばTOTOのユニットバスはお風呂に入って扉の上に品番シールが貼ってある事が多いです。セキスイの場合は扉の下、という事もあります。ユニットバスのどこかに「UB1418」など品番が書いてあれば、それがイコール「1418」サイズだと判断できたりします。
1-2-2.では在来浴室のサイズはどうなっているのか?
せっかくなのでオマケで在来浴室についてもお話ししておきます。ユニットバスではないお風呂は、「在来浴室」です。在来浴室とは元々の部屋を浴室に仕上げたり、手作りで組み上げたりと、つまりはオーダーメイドの浴室のことを指します。
そんな在来浴室の場合、大きさはピンキリで決まったサイズはありません。測った長さがそのままその浴室のサイズになります。
2.ユニットバスのサイズはリフォームにどんな影響を及ぼすのか
ユニットバスのサイズの測り方については大体ご説明できました。ここからは、ではそのサイズがどのようにリフォームに関係して影響を及ぼすのかをお話しします。
2-1.ユニットバスサイズが同じなのにスムーズに入替出来ない可能性
今の浴室(ユニットバス)が1216だったとしましょう。ユニットバスの入替をしようとした時、現在と同じ1216サイズのユニットバスなら全て入るかというと、そうではありません。
2-1-1.メーカーが違うと4ケタのサイズが同じでも全く別の商品になる
もし1216、1418等4ケタのサイズが同じだったとしても、メーカーによってユニットバスの内部はもちろん外部の構造も全く違う商品になってしまうのです。外部の構造が違うという事は、ユニットバスを入れるために必要な広さが異なる可能性があるということを指しています。
2-1-2.同じメーカーであったとしても規格やシリーズの違いで別商品になり得る
そして同じメーカーのユニットバスだったとしても、1216等サイズが同じでも商品によってそれぞれのパーツの長さ、大きさ、広さがバラバラで別の商品となってしまいます。そうなると同じサイズであるにも関わらず、スムーズに入れ替えられない可能性があるのです。
スムーズに入れ替えられない場合は壁を壊す等、スペースを確保する必要が出てきます。もちろん予算や建物の構造問題をクリアしているなら良いでしょう。しかし本来スムーズに入れ替えられれば50万円くらいまでで済んだ費用が、100万円以上になってしまう事は珍しくなく、当初の予定より予算オーバーとなるケースがあります。
2-1-3.ユニットバスのサイズが同じだからと言って浴槽も同じ大きさだとは限らない
さらにもし浴槽のみの交換を検討されている場合でも、ユニットバスのサイズについて注意が必要です。ユニットバス同様、1216など同じサイズであったとしても使われている浴槽のサイズも一緒だとは限りません。
ユニットバスの浴槽はそのほとんどが壁際ギリギリまでしっかりと詰まる大きさになってい ます。つまりちょっとでもサイズが違えばスキマが出来たり、床の設置位置に合わなかったりと支障が出てしまいます。その調整しようとした 場合、工事費用が余分に掛かってしまうかもしれません。
浴槽の交換については浴槽交換がなぜ高額?その訳と今すぐ少額に出来る5つの秘訣をご覧ください。
2-1-4.同じ品番でなくても時々リフォームを見越した後継商品が存在していることもある
さて、これは救済情報です。もし全く同じ品番の商品が廃番などして既になかったとしても、諦めるのはまだ早いです。メーカーによっては品番は違うものの、元の商品の規格を継承した商品を出しています。
ユニットバスのメーカーと品番が分かる場合は、メーカーに相談をしてみましょう。品番が分からなかったとしても写真診断で対応してくれるメーカーもあります。
2-2.実はそのマンションに合わせて作られたオリジナルサイズのユニットバスである可能性も
実は時々、そのマンション用に作られたオリジナル仕様のユニットバスがあります。大抵部屋数の多いマンションの浴室です。
数百室などかなり部屋数の多いマンションの場合、注文するユニットバスの数も当然多くなります。そうするとメーカーへ依頼する時に融通を利かせやすくなり、オリジナル仕様のユニットバスを入れるマンションが出てくるのです。
そうなると在来浴室でなくてもまるごとユニットバスを入れ替える時になかなかサイズが合 わないケースが出てきます。特にマンションは柱など上下階と共有しているため、無理矢理工事するとトラブルになってしまい、上手く入れ替えられない事もあるのです。そんな時は入れ替えずにリフォームする必要があるでしょう。詳しくは後述します。
2-3.サイズが平均から遠ざかるにつれてユニットバスの価格も高くなる
「ユニットバスのサイズが平均から遠ざかる」とは以下のことを意味します。
- サイズが大きくなると使う素材の量が多くなる
- サイズが大きいモノを求める人は高級志向があるので、それに合わせた商品になっていく
- サイズが大きい小さいに関わらず、生産量が少なくなっていくのでユニットバスひとつ作るためのコストが上がる
こういった理由から大きいサイズはもちろん、実は平均以下の小さいサイズでも価格が高くなる可能性があるのです。厳密に平均サイズを出す事は難しいですが、大きいモノなら1418以上、小さいサイズなら1116以下といったところでしょうか。ユニットバスの価格については追々それのみを扱った記事を書きたいと思います。
3.ユニットバスのサイズが原因でリフォームが出来ない時の対処法
ここまででご紹介したような、ユニットバスのサイズが原因でリフォームが出来ない時。じゃあ全くリフォームできないのかといいますと、そうではありません。解決の糸口となる対処法もご紹介しておきます。
3-1.今一度ユニットバスでのリフォームに秀でた業者に現地調査を依頼する
- ユニットバスのサイズが原因でスムーズに入れ替えられない
- 同じサイズ、少し大きめのユニットバスは入らない
そうやって現地調査に来た業者から言われた時。もしかするとユニットバスのリフォームに精通した本当のプロであれば入れ替え出来るかもしれません。
ユニットバス入替に長けた業者のブログより
その寸法(タイル貼りの浴室サイズ)が上写真の通り、1m57㎝だったとしましょう。(中略) UB内法1600 UB外法1640って書いてます。(中略) 1m57㎝+タイル撤去分の計2㎝≒1m59㎝ これはもちろん実話ですよ、ある業者さんから後5㎝足りませんねーと、言われてるんですよ。(中略)
タイル貼りのお風呂は、かなり高い確率でこのような構造体になってます。タイルの下に、モルタル(セメントのことね)、さらに下地木(バラ板と言う) タイルが約1㎝・モルタルが約2㎝・バラ板が約1㎝ トータルすれば4㎝。両サイドになるので×2の8㎝が取れるということになる。解体後はこのように有効寸法が1m65㎝になり、メーカーが定める規格に収まるというわけ。
引用: リフォームとは幸せを生み出すもの! (c) ダイケンリフォームサービス http://www.daiken-rs.com/archives/6536
上はユニットバス入替に長けた業者さんのブログです。このように、ただユニットバスと目に見える素材の厚さだけだけを見比べて「入替できない」と言う業者は多いようです。そんな時、優秀なリフォーム業者に現地調査を依頼してみると、実は入れ替えられると判明する可能性も残されています。
3-2.ユニットバス入替以外の方法でリフォームをする
それでも結局入替のリフォームが出来ないとなった時には、入替以外のリフォーム方法を検討する他ありません。あまり一般には知られていないだけでそういった奥の手は存在します。
- 浴室塗装
- パネル工法
- 床シート
これらの他にも今ある浴室を再利用してリフォームで安く綺麗にする事が可能です。検討してみましょう。詳しくは入替せずにマンション寿命を延ばす風呂リフォーム奥の手6つをご覧ください。
4.まとめ
ユニットバスのサイズは1216等の分かりやすい指標があるだけに、単純だろうと思っている方もいらっしゃいます。しかしこの記事でご紹介したように実は奥が深いのです。
インターネットで調べた費用と予算が合っているだけで「これならユニットバスを入れ替える」と思うのはまだ早いでしょう。本当に入れ替えられそうかはやはり業者に見てもらう必要があるのだと頭に入れておきましょう。