浴室をクリーニングやプチリフォームで綺麗にしたのに、ドアだけ何だか古臭い。交換しようにも、壁や枠を取り壊してまた作ってもらうには結構費用が掛かるらしい。ドアだけのために費用を掛けていいか悩んじゃう…。
そんな浴室ドアの交換でお困りの方、「カバー工法」と呼ばれる技術をご存知でしょうか?
カバー工法とは、“今ある既存の枠の上から新しい枠を取り付ける工法”のこと。一般ユーザーの方には知られていない工法でも、浴室ドアでは「カバー工法」が業界的にメジャーです。
そこで本記事では今改めて注目されている「カバー工法」についてご紹介します。“そもそもカバー工法とは何か”からはじまり、浴室ドア交換の費用、交換手順、そしてカバー工法はどこに頼めば良いかをご説明します。
今回のブログ記事を読んで、壁・枠を取り壊さずに浴室ドアの交換して、余分な費用をかけない方法を知るヒントを得てください。
(2018年9月12日:最新情報に更新… 「浴室ドア交換の時に検討したい2つのフランチャイズチェーン」を掲載しました)
目次
1.壁を取り壊さずに浴室ドアだけを交換できる唯一の方法「カバー工法」とは
カバー工法
既存の枠の上から新しい枠を取付ける工法。屋根や窓枠、扉など様々な用途で使用される。古いサッシを取り除き、枠を残したまま新しいサッシを取付けるため、壁や床を工事することなく取替が可能。また、スピーディーな作業が可能で、1日あれば出来る事が特徴。
引用:コトバンク https://kotobank.jp/word/%E3%82%AB%E3%83%90%E3%83%BC%E5%B7%A5%E6%B3%95-1127769
このように、カバー工法とはお風呂だけではなく、屋根、窓枠、玄関トビラなどにも使用されているリフォームの工法なのです。
- 基礎である元々の枠や壁を再利用するため解体・再構築の費用が掛からない
- 工事が少なくなるのでリフォーム時間が早い
主に上記2つのメリットがあります。“1日あれば出来る”とありますが、カバー工法で行う浴室ドア交換の場合は現場に入ってから大体3時間以内に終わることがほとんどです。※スピードと費用はもちろんそのお家の状態にもよります。
1-1.すべての面でカバー工法が良いわけではない
浴室ドアの交換でカバー工法を使う分には特に悪いことがあるわけではありません。しかし屋根など大掛かりなところをカバー工法でリフォームする際には、以下の記事で紹介されているようなデメリットが発生する場合があります。
なぜか屋根カバー工法で修理した屋根は火災保険で屋根を修理できる可能性が極端に低くなります。私たち専門業者がそう感じているので間違いありません。
引用:ルーフパートナー http://roof-partner.com/roof-cover-method-construction-6672
カバー工法も使いどころが肝心になるわけですね。
1-2.カバー工法での浴室ドア交換が活きる場面
では浴室ドアの交換でカバー工法を上手く使う場面とはどのようなものでしょうか。それは以下の状況です。
- パネルや床シートで部分的なリフォームをした時
- 浴室塗装でユニットバスを再生させた時
- クリーニングでお風呂は綺麗になったけどドアがイマイチ綺麗にならなかった時
- 上手く閉まらない、破損などでドアだけ交換したい時
上の4ケースは、つまりはドアだけを交換したい時です。ユニットバス入替ではないリフォームをした時はドアは付属しません。そんな時に出来れば費用を掛けず、ドアだけ交換したい時にカバー工法が活躍します。
ユニットバス入替をしないお風呂リフォーム方法についてはお風呂リフォームが格安にできる|入替しない奥の手工法6つでご紹介しております。
2.浴室ドアを交換する時の費用
カバー工法による浴室ドア交換の費用相場
5万円~10万円
経験的には5~8万円くらいになる事が多いです。浴室ドアでも交換費用に開きはありますが、これは以下の要素があるからです。
- ドアの商品代の違い
- 業者の工事費の違い
- 複合施工による工事費の違い
ドアの商品代の違いはもちろんありますよね。そのお宅の浴室ドアの大きさや形状によっても選択する商品が変わることもあります。業者の工事費が違うことも想像できます。では3つ目の「複合施工による違い」とは何でしょうか。
2-1.複合施工による費用の違い
例えば同じ工事をするにしても、ドアだけ工事をするか、あるいはパネルや浴室塗装など他の工事も一緒に行った場合に。内容は同じでも工事費に違いが出る時があります。
ドアの交換だけでも現地調査をし、商品を仕入れて工事に出向く手間は掛かります。他の工事も併用すると、1回でその他の現地調査や工事・交通費なども一緒になるので安くなる場合があるのです。これが複合施工による工事費の違いです。
3.カバー工法を用いた浴室ドア交換の手順
ではカバー工法で浴室ドアを交換する時はどうするのか、流れを見ていきましょう。
手順1.事前の調査でサイズを測り、交換できるドアを見繕う
カバー工法はスピーディーな交換が魅力。それを可能にするには事前の調査が不可欠です。
- カバー工法が適用できそうか
- 被せるドアのサイズはいくらか
をしっかりと見極めなくてはいけません。
手順2.まずは浴室の古いドアを取り外す
工事当日。まずは古いドアを取り外します。
手順3.枠だけの状態にし、新しい枠をつける下準備をする
古い枠は残したままにします。そして新しい枠をつけるために以下のような下準備をします。
- 古いコーキングの除去
- 不要な部品の除去
- 枠周りについた汚れの掃除
- 新しい枠をネジで取り付けるための穴を開ける
手順4.新しい枠を被せて固定し、新しいドアを取り付ける
新しい枠を古い枠の上から被せ、ネジで固定します。そして新しいドアを取り付けます。
※オマケポイント
浴室のドアは取り付ける時に少しコツが要ることがあります。工事に立ち会っているならば、この段階でどうやって取り付けているかを見て、尋ねておくと後々のために安心できます。
手順5.新しくコーキングを打ち直す
手順3で取り除いた部分に新しくコーキングを施します。コーキングは地味な作業に思えますが、やる人によって綺麗さが異なります。浴室ドア交換を多く経験している業者であればコーキングも綺麗に打ち直してくれるはず。養生テープをドアの周りに貼り、丁寧にコーキングできる業者が理想です。
手順6.工事完了|動作チェック
これでカバー工法による浴室ドアの交換は終了です。最後に業者さんがしっかりとドアの動作チェックをしているとは思いますが、一緒になってちゃんとドアが動くか確認をしましょう。
当日の工事は大体3時間くらい、スムーズに出来る現場・業者であれば1時間で終わることも。
4.浴室ドアを交換する時に良い業者を見極めるポイント
さて、ではいざ浴室ドアを交換したい時に良い業者を見極めるポイントとは何でしょうか。見ていきましょう。
4-1.前提として浴室ドアのカバー工法を提案してくれること
(浴室ドアの)既存の外枠の取り外し工事は、壁や床、ユニットバスの場合は天井も壊す必要も出てくるため、かなり大掛かりな工事になることが多く、今では比較的短時間、低価格で施工できるカバー工法が主流。
引用:Local Works https://localworks.jp/html/price/housing-improvement/bathroom/bathroom-door.html
このように現在浴室ドアの交換はカバー工法がメジャーになってきています。まずは前提として、浴室ドアを交換したいと頼んだ時に「そもそもカバー工法を提案してくれるかどうか」はポイントになり得ます。
状況によっては壁や枠を取り外して工事しなければならないことも当然あります。ですが浴室ドアの交換が得意な業者であれば、カバー工法を基準に考えるはずです。
4-2.メーカーとの繋がりがあるドアサッシ屋さんか、あるいはそんなサッシ屋さんと取引をしているリフォーム業者であること
浴室ドアを交換してもらいたい時、一体どこに頼めば良いのでしょうか。ズバリ、答えは「ドア・サッシ屋さん」です。ドアはそのままですが、サッシとは窓のこと。ドアと窓枠などを専門にしている業者ということです。
4-2-1.ドアサッシ屋さんはカバー工法用の浴室ドアをメーカーに発注して仕入れることができる
サッシ屋さんはドア・窓枠に特化しています。ドアサッシを扱う数が普通のリフォーム屋さんの比ではなく、メーカーとの繋がりが強くなるところが出てきます。そんなサッシ屋さんではメーカーに発注して、カバー工法用の浴室ドアを仕入れることができるのです。
もちろんドアを専門で扱っている分、浴室ドア交換の経験や腕も良い可能性が高いでしょう。
4-2-2.メーカーと直接やりとりができる場合ほとんどの浴室ドアがカバー工法で交換可能
実はほとんどの浴室ドアがカバー工法で交換することができます。
カバー工法をよく知らないリフォーム屋さんの場合、通販などで売られている既製品しか扱えません。そうなると「既製品のサイズに合ったドアしか交換できない」と思っています。
しかしメーカーでは、その浴室ドアのサイズに合わせてオーダーメイドのカバー工法用浴室ドアを作っています。ですのでよっぽど浴室ドアの周りがボロボロだとか、求めているドアのグレードが高いとかでない限り、ほとんどのドアがカバー工法で交換可能なのです。
そのため、カバー工法を希望させるのであればメーカーとやりとりしている業者が良いのです。
4-2-3.しかし実際に分かりやすいホームページを持っているドアサッシ屋さんは少ない
しかしドアサッシ屋さんは、分かりやすいホームページを持っていることが少ないです。かなり小規模であったり、「ドア・サッシを扱っていると言っているから大丈夫だろう」という意識なのでしょうか。実際には浴室ドアの交換を頻繁に行っているのに、ホームページ等では全く紹介していないことも珍しくありません。
一般の方が「浴室ドアを交換したいけど、どこに頼んでいいのか分からない」と思ってしまうのは無理もないでしょう。
そして腕の良いサッシ屋さんであれば、あまり表に出てこないこともあります。ホームページを持たなくとも充分な仕事があるためです。直接頼めるドアサッシ屋さんが見つかれば、それに越したことはありません。もしリフォーム屋さんに頼む時にはサッシ屋さんと取引しているかをチェックすると良いでしょう。
もし浴室ドアでカバー工法をしてもらいたい場合、次の【5.浴室ドア交換の時に検討したい2つのフランチャイズチェーン】を参考になさってください。
4-3.浴室ドアを交換したいだけなのに強引にユニットバス入替を勧めてこないかどうか
お風呂リフォームの業界ではよくあることですが、何かしらリフォームがしたいと言った時に「とにかくユニットバス入替を勧める」という業者がいます。もちろんユニットバスを入れ替えられるならば色々とメリットはあります。ですが、単に利益が欲しいだけの場合も当然あります。
「ドアを交換したい」と言っているにも関わらず、しっかりした理由もなくユニットバス入替を勧めるのは少し強引です。
4-4.浴室ドアの交換を直接メーカーに頼むと費用が割高になる可能性も
カバー工法による浴室ドアの交換では、費用もポイントとなってきます。なぜならそもそもカバー工法自体に、工事を少なくして費用を抑える目的もあるからです。しかしそんなカバー工法の浴室ドア交換でも、直接メーカーに頼んでリフォームしてもらう場合には割高となってしまうことがあります。
4-4-1.メーカー経由で15万円だった浴室ドア交換が8万円になった
このブログ記事をご覧になって、本ブログを運営している浴室再生職人会に浴室ドア交換のご依頼をいただいたケースをご紹介します。
その方のお話しによりますと、今浴室についているドアのメーカーに交換を依頼したところ、カバー工法で見積金額が15万円になって困っているとのことでした。もしかすると交換が難しいケースなのかもしれないと思いながらお宅へ伺ったところ、特に困難なドアでもありませんでした。8万円台でリフォームは無事完了。
これはメーカーに依頼したとしても、実際に浴室ドアの交換を行うのは下請けの業者であったことが理由です。このように業者に直接依頼をすることによって費用を削減できる可能性があります。
5.浴室ドア交換の時に検討したい2つのフランチャイズチェーン
ここでは、普通ではなかなか見つからない「ドア・サッシ屋さん」を探してもらいやすいよう、ドア・サッシ屋さんが多いフランチャイズチェーン店をご紹介します。
そのチェーン店とは次の2つです。
- マドリエ
- MADOショップ
順に見ていきましょう。
5-1.チェーン店①:マドリエ
マドリエは、サイトのロゴマークや文章にもLIXIL FCとあるように、建築材料・住宅設備機器の最大手メーカー「LIXIL(リクシル)」のフランチャイズチェーンです。
LIXIL自体は窓やドアの他にもユニットバスやキッチンなど、様々な商品のメーカー。ですので、このマドリエのチェーン店となっているところはドアのカバー工法だけでなく、色々なリフォームを取り扱えるところが多くあります。
ただ浴室ドアの交換で言えば、できればドア・サッシをメインに扱っている業者さんの方が良いでしょう。
5-2.チェーン店②:MADOショップ
MADOショップは、アルミ建材メーカーの「YKK AP (ワイケーケー エーピー)」のフランチャイズチェーンです。
サイトでは「窓の困りごと」を全面に出していますが、実際には窓以外、当然浴室ドアのカバー工法やその他リフォームを扱っているところが多いです。こちらもやはり浴室ドアの交換で言えば、ドア・サッシをメインに扱っている業者さんの方が良いかもしれません。
5-3.この2つのチェーン店でカバー工法をしてもらいたい時のポイント
上でご紹介した2つのチェーン店でカバー工法をしてもらいたい時は、次のポイントを気をつけてみましょう。
- できるだけ近くのお店を探す
- ひとつだけのチェーン店で諦めない
5-3-1.できるだけ近くのお店を探す
浴室ドアのカバー工法では、できれば近くのお店を探したいです。というのも、カバー工法は以下の特徴があるからです。
- カバー工法自体がそこまで高額のリフォームではない
- 必ず一度は現地の見積もりが必要になる
リフォーム屋さんは当然ビジネスとしてお仕事をしています。リフォーム金額自体が低いということは、利益が乗りにくいことを意味します。そして浴室ドアでのカバー工法は「そのドアに合ったサイズのカバー工法用ドア」を発注する都合上、どうしても一度は現地に調査をしにいく必要があります。
そうなると、遠方のリフォーム屋さんでは交通費が掛かってしまうのと、もし何かあった時に細かい対応がしてもらえない可能性があります。
ですので、できれば近くのお店を探した方が良いのです。
例えば兵庫県の神戸市にお住まいなら「マドリエ 神戸市」「MADOショップ 神戸市」などと検索して、近くのところを探しましょう。
5-3-2.ひとつだけのチェーン店で諦めない
また、どちらかひとつのチェーン店でダメだったとしても、諦めずにもう片方のチェーン店を当たってみることも大切です。
例えば、マドリエのリフォーム店に見積もりを依頼して「それはカバー工法ではできない」と言われたとしても、もうひとつのMADOショップのお店であれば出来る可能性もあります。逆もしかり。
というのも先ほどお伝えした通り、マドリエとMADOショップでは大元のメーカーが違うからです。マドリエのLIXILの商品でダメだったとしても、MADOショップのYKK APの商品だと希望に合うモノがある可能性もあります。当然、YKK APでは厳しくても、LIXILの商品の方が気に入ることもあるでしょう。
ひとつのチェーン店でダメだったからと言ってカンタンに諦めず、もうひとつを当たるようにしましょう。
6.まとめ
ドアだけであっても、交換するとやはり気持ちのいいものです。ただ、ドアだけと言ってもここまで解説してきたように、やはりリフォームは気を付けるべき点が多くあります。
壁などを取り壊さなければいけないリフォームでは気が引けてしまいますが、カバー工法でなら費用も日数も掛かりません。お風呂のリフォームではぜひ選択肢のひとつとして覚えておくと良いでしょう。
もし浴室ドアの交換をカバー工法でしてみたい時は、まずは本記事で登場したチェーン店を当たってみるとスムーズです。
さらにカバー工法だけでなく、浴室全体を再利用してリフォームされたい時には本ブログ「風呂ログ」の記事を読まれると良いでしょう。何かヒントが得られるかもしれません。