現在お風呂リフォームの中で最もメジャーなリフォーム方法は、ユニットバスを使ったリフォーム。
「お風呂リフォーム」と検索しても、暗黙の了解のように扱っているのはユニットバスのリフォームばかり。お近くの大型家電量販店やメーカーのショールームに出掛けてみてください。お風呂リフォームコーナーでは間違いなくユニットバスが丸ごとドーンと置いてある光景を見かけるでしょう。
お風呂リフォームをするなら当然のように〝ユニットバスでのリフォーム〟が勧められますが、リフォームのことが分からない一般の方からすれば「何でユニットバスがいいの?」と思われるかもしれません。
そこで本記事では、そもそもユニットバスは「何が優れているのか」から書き始めます。
さらに
- ユニットバスのリフォーム費用
- ユニットバスに使われている素材の良し悪し
- ユニットバスでのリフォーム工程
などもご紹介。ユニットバスのお風呂リフォームをご検討されておられる方は、必須知識としてぜひチェックしてみてください。
目次
1.そもそもユニットバスとはどういった物か|何が優れているのか
はじめてユニットバスのリフォームをする方なら「そもそもユニットバスとは何か」ということ自体、ご存知ないはず。まずは基本的なユニットバスの知識をご紹介します。
1-1.ユニットバスは元々工場で作られた浴室のセット商品
ユニットバスとは「メーカーが工場であらかじめ作っておいた浴室の商品」です。
- 浴槽
- 壁
- 床
- 天井
- その他(水洗・ドア・換気扇など)
お風呂に必要なモノがすべてセットになっています。職人さんは現場でユニットバスを、プラモデルのように組み立てるだけで浴室を作ることができるのです。例えるならプレハブのような物ですね。
ちなみに〝システムバス〟はユニットバスの別名なので特に違いはありません。
1-2.ユニットバスが優れている3つのポイント
次の3つが、ユニットバスの優れている大きなポイントです。
- 誰がリフォームしてもクオリティを保つことが出来る
- イチから作るよりもリフォーム期間が短くなる
- リフォームコストを抑えることが出来る
順にご説明していきます。
優れている点1.誰がリフォームしてもクオリティを保つことが出来る
まず挙げられるのは、「誰がリフォームしてもクオリティを保つことが出来る」という点。
浴室を一から作るとなると、そのクオリティは職人さんの腕次第となります。ですがユニットバスは工場生産の元々出来上がっている商品。現場で組み上げれば、誰がリフォームしても一定のクオリティを保つことができるのです。
またユニットバスは研究されて作ってあるので、手作りで仕上げる並みの浴室よりも防水性や機能性は上でしょう。
優れている点2.イチから作るよりもリフォーム期間が短くなる
浴室を一から作ると、リフォーム期間は長くなります。その点ユニットバスは出来上がっている物を組み立てて、細かな調整をするだけ。リフォーム期間は短くなるでしょう。
優れている点3.リフォームコストを抑えることが出来る
そしてユニットバスのリフォームは浴室を一から作るよりも、コストを抑えることが可能です。すべて一から作るとなると、以下のことが必要になるからです。
- 浴室のデザイン、設計の相談
- 浴室を構成する材料
- 浴室を作る事が出来る職人の工賃
これらはユニットバスのリフォームでは必要最低限となるため、コスト面でもメリットがあるのです。
1-3.ユニットバスに使われている様々な素材
ユニットバスと一口に言っても、メーカーのカタログを見ると様々な商品があります。その中でも特に迷いやすいのは「浴槽に使われている素材」です。
1-3-1.ユニットバスではどの素材を選べば良いか
素材名 | 特徴 |
FRP | 一番メジャーで安いモノも多い。浴室塗装など補修がしやすい |
ホーロー | 肌触りが良い。重い |
ステンレス | キズや耐久性に◎。ただし補修は難しめ |
人造大理石 | 味がある。メーカーによって色々な差がある |
ユニットバスに使われている主な素材を上に並べてみました。特に浴槽の素材はいくつもあり、一体どれを選べばよいか迷ってしまうでしょう。特に主流で使われている素材はFRPです。(※参考:FRP浴槽とは|他種との違いと選ぶメリットデメリット)
正直なところ、素材の選択は個人の好みによるところも大きいです。できればメーカーのショールームなどで直接見た上で判断すると良いでしょう。ユニットバスのそれぞれの素材についてはまた別の記事でご紹介します。
1-3-2.10~20年もユニットバスを使えばどちらにせよ痛む
また、ユニットバスの耐久年数は大体10~20年ほどだと言われています。これを短いと思う方もいらっしゃるかもしれません。
ですがお風呂は「人が素肌で出入りし、お湯や汚れにさらされる」ところです。劣化は必然だと言えるでしょう。それほど「お風呂として使われる」ことのダメージが大きいのです。
素材のメリットは色々あります。ですが20年を過ぎた頃には、どの素材でもどちらにせよ痛むはず。その場合は何らかの対策を打ったり、リフォームする他ないでしょう。
1-3-3.ただしカラーステンレス浴槽は注意が必要
ただし唯一、「カラーステンレス浴槽」は注意したい商品です。
カラーステンレス浴槽とは、ステンレスの表面に色付きの塗装を施した浴槽です。これがクセモノで、「使い始めて数年しか経っていないのに塗装がはがれる」トラブルが出ることがあります。その際に何とかしようとメーカーに連絡しても「塗装を全部はがして使ってください」と言われます。塗装はあくまで意匠性(デザイン)で、保証外ということらしいです…。
全体で言えばトラブルが起こるのは少数かもしれませんが、あえてコレを選ぶにはデメリットが大きいでしょう。
1-4.ユニットバス商品の価格
ユニットバスはグレードによって価格が異なります。安い物だと、定価を大きく下回る〝十数万円〟で手に入ります。逆に高い物だと百数十万円。デザイン・大きさ・機能性などによってピンキリです。
ユニットバスの商品代にどれだけお金を掛けるかは悩みどころ。ですがさらに重要な「リフォーム工事費」にもどれだけお金が掛かるかを考えなければいけません。詳しくは後述します。
1-5.ユニットバス以外の浴室は「在来浴室」
ユニットバスのことばかりお話してきましたが、念のためそれ以外の浴室にも触れておきます。
ユニットバス以外の浴室とは、オーダーメイドでイチから作った浴室です。これを在来浴室といいます。
- ガラス貼りのオシャレな浴室
- 自然素材を取り入れたヒノキ風呂
上のように在来浴室では、あらかじめ型の決まったユニットバスにはない素敵な浴室づくりができます。ただしその分、費用は掛かりますので理想と予算を天秤にかける必要があるでしょう。
厳密にはハーフユニットと呼ばれる壁から下半分のユニットバスもあるのですが、ここでは割愛します。要はユニットバス以外はオリジナルの仕様で作られた浴室なんだと覚えておきましょう。
2.ユニットバスのリフォーム工程と注意点
ここまでユニットバス自体の事をお話してきました。ここからはリフォームの工程について詳しく見ていきます。
2-1.ユニットバスのリフォーム工程
ユニットバスのリフォーム工程についてご紹介します。参考にするのはパナソニックの「バスルームリフォーム編」ページです。全体的に流れをご説明しながら、その工程で把握しておきたいプチポイントもお話ししておきます。
ユニットバスリフォーム工程①.解体工事
①養生ボード敷き
これはリフォームでは定番の「養生」にあたります。工事で家が傷つくのを防ぐために、床にボードを引いたり壁にテープを貼って保護します。
②解体作業
ここから工事開始です。まずは今ある浴室を解体します。新しく設置するユニットバスの大きさによっては解体せずにそのままユニットバスを入れる時もあります。
③解体完了
既存の浴室を解体して、撤去した後の様子ですね。下部分は防水性を考慮して元々コンクリートになっている場合も多いです。この状態なる前に解体したバラバラの浴室を「撤去する作業」も行っています。
【プチポイント】解体と撤去の工賃が高くなるケースも
今現在の浴室に使われている素材が大きかったり重かったりした場合は、解体・撤去に苦労します。その分、解体・撤去の費用が上がるケースもあります。
高くなるかもしれない具体例 : エレベーターのないマンションの5階で、重いホーロー浴槽などが使われていた浴室を解体撤去した時
ユニットバスリフォーム工程②.基礎工事
④木工事
基礎となる木材を組んでいる工事です。特にドア周りを新しく組むことになるでしょう。
⑤配線・配管完了
ユニットバスを設置するために電気の配線と、水道の配管を整えます。
⑥土間基礎工事
下をコンクリートで埋めて土台を作っています。
【プチポイント】何か問題が発覚したならココまでで解決させる
今まで浴室として使ってきた空間の影響が少なからず出ているかもしれません。基礎が腐食しているその他、問題を解決できるとしたらこの作業に入る前です。解体が終わった後には職人さんに何か問題はないか確認すると良いでしょう。
ユニットバスリフォーム工程③.商品搬入・配管工事
⑦商品搬入
ユニットバスが搬入されてきてます。
⑧バス組立て
最初はバラバラの状態で運ばれてきますので、現場で組み立てる準備をします
⑨配管工事
運ばれてきたユニットバスの仕様に合わせて配管工事をしています
ユニットバスリフォーム工程④.組立て据付工事
⑩組立て据付工事
ユニットバスはこのように現場で組み立てて浴室に仕上げます。部屋の中に、もうひとつ部屋を作るイメージです。
ユニットバスリフォーム工程⑤.ドア据付け・取扱説明
⑪ドア据付け
ドアもセットになっているので、ドアを据え付けます。
⑫周辺壁造作
解体した壁や周辺を、ユニットバスが入った後に作り直します。
⑬取扱説明
最後にユニットバスの説明だったり工事後の注意点などを聞かせてもらえるはずです。
【プチポイント】壁の造作があるかどうかで費用もかなり変わる
さらっとした説明で終わってますが、「壁の造作」がどこまであるかどうかで費用がかなり変わります。これは最初の解体撤去の費用も関係します。壁を作り直す作業が必要かどうかで費用が変わるため注意が必要です。
2-3.ユニットバスのリフォームではサイズについても注意が必要
上ではユニットバスのリフォーム工程をご紹介しました。解体したり壁を造作したりと、ユニットバスはサイズの自由度も高そうに感じます。しかしユニットバスのリフォームではサイズについて注意が必要です。
実はあなたのお風呂・家の構造によってはサイズの融通が利かないどころか、ユニットバス自体入れられない可能性さえあるのです。詳しくはユニットバスの測り方とサイズが原因で入替出来ない時の対処法をご覧ください。
3.ユニットバスのリフォーム費用
3-1.ユニットバスのリフォーム費用相場
ユニットバスのリフォーム費用相場は50~150万円となっています。あくまで費用相場になりますので、ユニットバスのリフォームでも30万円で済むこともあります。その逆に200万円掛かることも。
これはユニットバス商品自体のグレードや、工事する浴室の状況によって工事費が変わってしまうから。実際にどのくらいの費用になるかは「リフォーム屋さんにお見積りをしてもらうまで分からない」というのが本当のところです。
3-2.ユニットバスの価格を見る時は「工事費」が含まれるか含まれないかをチェック
ひとつ、ユニットバスの価格を見る時の必須知識があります。それはその価格が「ユニットバスの商品代のみか」または「ユニットバス+基礎工事費込か」ということ。
上の画像のように、工事費の横に「※工事費別途」など書いてあることがあります。これはつまり「ユニットバスの商品代」。このようにユニットバスの価格には「商品代のみ」と「基本工事費込み」のものが混ざっています。なので一見同じ価格に見えたとしても注意が必要です。
3-3.ユニットバスの費用が高くて悩んだ時は
ユニットバスのリフォームは、一から浴室を作るより安いとは言っても結構な金額です。リフォーム費用自体が高いと悩まれる方も多いでしょう。そんな時はお風呂リフォーム費用の大全|絞りに絞る7つのカンタン対策を参考にしてみましょう。
この記事ではユニットバスリフォームで費用を抑える方法から、ユニットバス以外でのリフォーム工法を利用することもご紹介しております。
4.まとめ
本記事でご紹介したメリットが理由で、一時期からお風呂リフォーム業界ではユニットバスでのリフォームが当たり前のようになりました。他のお風呂リフォームの記事を読む時には、まずユニットバスでのリフォームを基準にして読むと分かりやすいかもしれません。