ユニットバスが痛んできたので、そろそろ綺麗にしたいと思われる方は多いでしょう。しかしまるごと入れ替えるリフォームでの費用は50~150万円ほど。ただ汚れている、色褪せている、ヒビ割れている等の理由でリフォームを決行するには迷う金額です。
そんな時に検討したいのがユニットバスの補修。
今あるユニットバスを再利用し、塗装や修理でリフォームすることで入替よりも費用を抑えて浴室を甦らせることが可能です。しかしまるごとの入替と比べてユニットバスの補修や修理がどこまで効果的かご存知の方は少ないでしょう。
そこで本記事では浴室を再生するプロである浴室再生職人会が、ユニットバスの補修についてご紹介。
塗装・補修・修理などの技術を駆使して、ユニットバスをまるで新品のようにピカピカに復活させた事例をご紹介します。本記事を読んで「ウチのユニットバスもこんな感じだ」と当てはめられる事例を見つけ、解決のヒントを掴んでください。
(本記事は2016年2月3日に執筆の記事を再構成して、新しく書き起こしたものです)
目次
1.ユニットバスの補修で使われる技法|再生を目的としたコーティング
補修・再生の事例をご紹介する前に、予備知識としてぜひ知っておいていただきたい事があります。それは今回ご紹介する事例で使っている塗装技術は「再生を目的としたコーティング」であるということです。
1-1.ユニットバスのコーティングには大きく分けて2種類がある
ほとんどの方がご存じありませんが、お風呂の塗装には大きく分けて2つが存在しています。
- 再生を目的としたコーティング
- 保護を目的としたコーティング
本記事の事例は、先ほどもお伝えした通り前者の「再生を目的としたコーティング」です。これは俗に「浴室塗装」「再生塗装」等とも呼ばれる、色付きのコーティングの事です。対して「保護を目的としたコーティング」とは透明のコーティング剤を使って表面を覆うものです。防カビ・クリアコーティングとも呼ばれています。
この2つは似ているようでいて、かなり違います。リフォームのような大きな補修・修理効果を期待するのであれば「再生コーティング」。今の状態である程度満足しているのであれば「保護コーティング」が良いでしょう。より詳しい2種類の違いについては最低限把握すべき浴室コーティングの異なる2つの種類をご覧ください。
2.プロが施したユニットバスの補修・修理|厳選8事例
では事例を見ていきましょう。掛かった費用や補修した箇所、その事例で特筆すべきところもピックアップしてお伝えします。
注意点
本記事でご紹介している事例は、すべて浴室再生職人会が実際に行ったものです。費用や施工の段取り、クオリティは業者によって異なる可能性がありますのでご注意ください。また、費用はすべて税抜表示です。
事例1.汚れがひどく色褪せたユニットバスを塗装の塗り直しで再生
掛かった費用 | 168,000 |
再生箇所 | 浴槽、壁、床、天井、キャビネット |
浴室の種類 | ユニットバス |
物件の種類 | マンション |
お風呂のサイズ | 1216 |
掛かった日数 | 2日間 |
事例1はかなり汚れのひどい、色あせたユニットバスを塗装で塗り直し、再生させました。データは上の通り。オーナー様は「これはもう入れ替えた方がいいかも…」とお考えでしたが費用を抑えたいという御意向でコーティングでの再生を選ばれました。
事例1-1.ここまでひどい汚れにどう対処したのか
ここまで汚れが酷いと、「この上からコーティングして大丈夫なのだろうか」と不安になる方がいらっしゃいます。実際の現場では以下のような工程を踏んでいます。
- まずは手洗い・その他で徹底的に汚れを掃除・除去
- 下地を整える研磨でも物理的に削ぎ落とす
- 下地が整ってから丁寧にスプレーガンでコーティング
こういった過程で行っていますので、カビや汚れをあらかじめ綺麗に落として補修と塗装がされているのです。
浴室の塗装について詳しくは浴室塗装|プロが教える利点と事例+失敗しない業者を選ぶ6つのコツをご覧ください。
事例2.入替困難のハーフユニットを補修・再生して蘇らせた
掛かった費用 | 395,000 |
再生箇所 | 浴槽・壁下・床周り |
浴室の種類 | ハーフユニット |
物件の種類 | 分譲マンション |
お風呂のサイズ | 1216以下 |
掛かった日数 | 6日間 |
この事例2は少し特殊なパターンです。このお風呂はハーフユニットが使われています。しかし壁の特殊な構造から「入替が出来ない」と業者に断られたそうです。
- 浴槽もバリバリに割れている
- 床下でトラップが破裂し水漏れが起こっている
という状況でした。そこで塗装だけでなくではなく、「パネル工法」「FRPライニング」も加えた複合的な補修・リフォームを決行しました。
事例2-1.FRPライニングで浴槽を再生
FRPライニングとは、浴槽の素材であるFRP(エフアールピー)を継ぎ足して補修する技術です。一般的には防水技術に使われています。このように技術を駆使すれば、ヒビ割れたFRP浴槽も綺麗に補修して再生させることができます。
事例2-2.FRPライニングで床を再構成
さらに、このようにFRPの床であれば「穴をあけてまた塞ぐ」という事が可能なのです。ただしこういった処置にも限界はありますので、入れ替えなければ根本的に解決しないことが多いのも事実です。
事例3.賃貸マンションのユニットバスをピカピカに再生
掛かった費用 | 160,000 |
塗装箇所 | 浴槽、壁、床、天井 |
浴室の種類 | ユニットバス |
物件の種類 | 賃貸マンション |
お風呂のサイズ | 1116 |
掛かった日数 | 2日間 |
オーソドックスなユニットバスの塗装事例です。色褪せや劣化が出てきているのと、石鹸カスの汚れもひどくこびり付いていました。
事例3-1.マンションのシンプルなユニットバスでこそ効果を発揮するお風呂の塗装
こうしたマンションに入れられているシンプルなユニットバスでこそ、塗装での再生は真価を発揮します。まだサビや水漏れが発生していないお風呂では、入替の費用を惜しまれる方が多いのが現状です。そうした「綺麗にしたいけど費用を掛けたくない」ユニットバスでは塗装でのリペアが持って来いでしょう。
事例4.戸建ての大きなユニットバスを再生
掛かった費用 | 168,000 |
再生箇所 | 浴槽、壁、床 |
浴室の種類 | ユニットバス |
物件の種類 | 戸建て |
お風呂のサイズ | 1216以上 |
掛かった日数 | 2日間 |
事例4は戸建てのお風呂です。天井に大きな窓がつき、お風呂のサイズ自体も大きな事例でした。これを通常ユニットバスで入れ替えようとすると高額になってしまいます。天井は元々別の業者でクリーニングをしてもらい、綺麗でしたので浴槽・壁・床をコーティング。費用を抑えて綺麗に甦りました。
事例4-1.蛇口などは洗った後に再取付が基本
塗装での再生では基本、蛇口などの器具は洗った後に再び取り付けます。交換には別途費用が必要でしょう。また蛇口などは前のままであることから、そういった部分に注目するとコーティングの前後でどれだけ変化があったかも分かります。
事例5.サビの発生していたお風呂もコーティングとサビ処理で解決
掛かった費用 | 220,000 |
再生箇所 | 浴槽・壁・床・天井 |
浴室の種類 | ユニットバス |
物件の種類 | 戸建 |
お風呂のサイズ | 1216 |
掛かった日数 | 3日間 |
事例5は戸建のユニットバスです。バスタブが壁・床と一体化してしまっており、浴槽だけの入替は出来ません。また壁と床の間に4カ所もふくらみが出来ており、サビ処理が必須でした。
事例5-1.ユニットバスで困るサビの補修処理の工程
ユニットバスの壁に金属板が使われている場合、経年によりこの事例のようにサビが発生してしまいます。ユニットバス入替が難しい場合はこうやってしっかりと補修・処理をしなければいけません。
事例6.お風呂の色を変えて再生
掛かった費用 | 175,000 |
塗装箇所 | 浴槽、壁、床、天井、キャビネット |
浴室の種類 | ユニットバス |
物件の種類 | マンション |
お風呂のサイズ | 1216 |
掛かった日数 | 2日間 |
浴槽~床が青いユニットバスが事例6です。今回青からスタンダードな白へと塗り替えました。お風呂コーティングはこういった色の変更が可能です。
事例7.劣化の激しい浴槽を補修
掛かった費用 | 140,000 |
再生箇所 | 浴槽のみ |
浴室の種類 | 在来浴室 |
物件の種類 | アパート |
お風呂のサイズ | 1216以下 |
掛かった日数 | 3日間 |
最後の事例7は劣化の激しい浴槽のみを補修技術で再生させた事例です。サイズは小さいですが埋込のような状態になっており、「浴槽だけを綺麗にしたい」というご希望でコーティングを施しました。
当会の浴槽だけのコーティング費用は90,000円なのですが、劣化が激しい場合「FRPライニング」という技術を使い補強を行ったため140,000円となっています。
事例7-1.ユニットバス・浴槽を再生するプロは「FRPライニング」を用いる
FRPライニング(エフアールピーライニング)とは、FRPという強化プラスチックで作られた物を再生させる技術です。FRPが使われている、ガスタンク、ヨットの船底、ユニットバスなどで活躍します。
お風呂の再生コーティングのプロであれば、普通のコーティング技術はもちろんこの「FRPライニング」を習得している事がほとんどです。
- 毛羽立ちが起こっていてコーティングが難しいFRP浴槽
- バリバリにヒビ割れてしまったFRP浴槽
そんな浴槽でもFRPライニングを用いれば再生できる可能性があります。
3.ユニットバスの補修についての注意点
ここまでユニットバス・浴槽を補修、修理した事例を見てきました。最後に注意点がいくつかあります。
3-1.再生を目的としたコーティングはDIYでは難しい
本記事でご紹介した、再生を目的とするお風呂コーティングは正直なところDIYではまず不可能です。軽い気持ちで「塗装なんだし自分でもサッと出来るでしょ」と考えられる方もいらっしゃいますが正直言ってオススメ出来ません。
もちろん失敗をしても自己責任になってしまいますので充分にご注意ください。もしそれでもやりたいんだという方は最低でもユニットバスを塗装するなら必ず確認しておきたい14のコトをチェックしてから臨みましょう。
3-2.ユニットバスのリペア業者を選ぶ時のポイント
再生のお風呂コーティングを業者に頼む時も注意が必要です。「塗装だから塗装屋さんに頼もう」とするのはお待ちください。実はユニットバスの塗装はかなり高難度。再生を目的としたコーティングをしてもらうのは浴室専門の塗装業者であることが必須です。
浴室塗装の大きなメリット4つと良い業者を見分けるコツでは、本記事でご紹介した事例のような塗装の特徴や良い業者を見分けるポイントをご紹介しております。ぜひ参考にしてください。
4.まとめ
ユニットバスでのリフォームが主流になってきている反面、それを塗装や補修して再利用する腕を持った職人さんはまだまだ少数です。
しかしあまりにも補修しなければならない箇所が多いと、ユニットバスをそもそも入れ替えた方が結果的に良いこともあります。
- まずは近くのリフォーム屋さんにユニットバス入替をお見積りしてもらう
- 予算が厳しい場合は、ユニットバスを補修・再生する方法を検討してみる
という流れが良いでしょう。